視力回復メガネは本当に目が良くなる? ピンホールメガネの効果
視力回復メガネとして市販されている「ピンホールメガネ」は、本当に目が良くなるのでしょうか?
今回は、ピンホールメガネの効果についてまとめます。
ピンホールメガネとは
真っ黒なメガネのレンズにあたる面に、ピン(針)を刺したときにできるような小さな穴がいくつか開けてあるのがピンホールメガネです。「視力回復メガネ」と呼ばれることが多く、「穴あきメガネ」「ピンホールアイマスク」と呼ばれることもあります。
面の材質は紙やプラスチックが一般的ですので、数百円という廉価で販売されており、百均ショップに置かれていることもあります。
たった100円から数百円のオモチャのようなメガネですが、近視や老眼の人がピンホールメガネをかけると、不思議なことに本当にものがよく見える効果があります。
ピンホール効果
実用的なレンズが発明される以前の原始的なカメラは、箱に小さな穴があいただけの、ピンホールカメラでした。小さな穴から入る光の量が少ないため露光に時間がかかり、写真を撮るのに日中でも10分以上かかったそうです。けれども、小さい穴から光を入れると焦点深度が深くなるため、多少の遠近があってもピンぼけにならないというメリットがありました。
人間の場合、近視の人が遠くをみるときに目を細めてピントを合わせるのと同じです。近視の人は水晶体で屈折した光が網膜よりも手前で像を結んでしまうためにピントが合わなくなりますが、小さな点から入ってくる光は水晶体で屈折することがないので、そのまま網膜に像が届きます。そのため、遠くのものが良く見えるようになるのです。これは遠視や乱視でも同様です。
ピンホールメガネは本当に目が良くなる?
実際に近視の人が裸眼でピンホールメガネをかけてみると、裸眼ではまったく読めなかった黒板の字や標識が読めるようになって驚きます。
そこで、視力回復ができたような感覚をもちますが、近視の原因になっている水晶体の屈折率などが改善したわけではありませんので、悪く言えば錯覚ということです。
けれども、まったく視力回復効果がないのかといえば、そうではありません。
視力回復への効果
近視、遠視、乱視、老眼などの屈折異常でものが見えにくくなっている人は、水晶体の厚さを調整する毛様体筋という目の筋肉が常に緊張を強いられていることが多く、目が疲れやすくなっています。また、パソコンやスマホを長時間見つづけることでも、毛様体筋は常に緊張を強いられています。
けれども、ピンホールメガネをかけてものを見ると、水晶体でピントを調整する必要がなくなるため、毛様体筋を使わずにものを見ることができるようになります。これは案外に大きな効果が期待できます。
ピンホールメガネをかけている間は、毛様体筋がリラックスした状態でものを見ているため、眼精疲労の予防には効果てきめんといえます。目が疲れていても、なかなかものを見ることをやめられないものですが、ピンホールメガネをかけていれば、ものを見ながら目を休めることができるのです。
その意味で、「ピンホールメガネをかけると目が良くなる」というのは当たっています。視力回復で目が良くなるというより、「健康的な目の状態を保つことができる」という意味で目が良くなるということでしょう。また、毛様体筋を緊張させずにものを見る経験を脳に覚えさせることで、軽度の近視が治る場合もあるということです。
まとめ
今回は、視力回復メガネの効果についてご紹介しました。
ピンホールメガネは視界が狭くなるため、家の中であまり動かない状態で使うようにしましょう。非常に価格が安いものなので、目の疲れが気になる人はとりあえず試してみてはいかがでしょうか。